光と記憶を刻むガラス作家・五十嵐桃子の軌跡:キルンキャストの美学と静寂の造形
A detailed look at 光と記憶を刻むガラス作家・五十嵐桃子の軌跡:キルンキャストの美学と静寂の造形, covering critical updates.
五十嵐桃子の作品群の中でも、特に高い評価を獲得しているのが立方体や小箱の形態をとる立体シリーズである。
一瞬の時間を切り取る「one day」シリーズ
「one day」は、ある一日の特定の光のありよう、または空気の温度感をガラスの固塊に置き換えた代表作だ。色の異なるガラス層を緻密に重ね合わせることで、夕暮れ時のグラデーションや、雨上がりの湿り気を帯びた空気を表現する。
作品を上部から覗き込むと、深い底へと続く光の奥行きが現れる。側面から見れば、滑らかに研磨された面と微細な凹凸を残した面が対比を成す。時間の経過とともに移ろいゆく風景を、不変の物質へと定着させる試みと言える。
幾何学構造と自然光のグラデーション「glass cube」
「glass cube」は、直角で構成された端正な正方形のフォルムを持つ。極めてシンプリズムを極めた造形でありながら、内部には複雑な層構造と泡の配列が潜む。
鋭利なエッジと内部の優しく揺らぐ光。幾何学的な厳密さと素材がもたらす偶然性の調和が、見る者に深い静寂を感じさせる。