稲本健一の挑戦と革新|ゼットン創業者が「店づくりは街づくり」で拓いた外食の未来
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稲本の経営スタイルを語る上で欠かせないスローガンがある。「店づくりは街づくり」だ。
多くの飲食店経営者は、いかに効率よく客席を埋め、原価率を下げ、利益を最大化するかを優先する。しかし稲本の思考回路は逆だ。「この通りにどんな店があれば、街全体が輝き出すか」「どうすれば人々がこの場所で笑顔を交わすようになるか」。彼の目線は、常に店舗の壁を越えて街の通りや広場へと向けられていた。
この哲学が最も華々しく結実したのが、官民連携による公共空間の再生事業(Park-PFIなど)である。横浜の山下公園や、名古屋のヒサヤオオドオリパーク(久屋大通公園)の再開発プロジェクトにおいて、ゼットンは重要な役割を果たした。暗く閑散としていた公園の一角に、テラス席を備えた開放的なレストランやカフェを配置する。それだけで人の流れが変わり、防犯性が高まり、街全体の価値が跳ね上がった。
行政が作ったハードウェアに、民間企業として最高峰の「にぎわい」というソフトを流し込む。稲本は、飲食店を単なる外食産業から「都市のインフラ」へと昇華させたのだ。