鯰組が遺した木造建築の真実──職人魂と普請道楽の40年
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多くの建築事務所では、設計者と施工者が分かれている。設計図を引く者と、実際に木材を刻む者は別人だ。だが鯰組は違った。
コー・岸本氏は、自ら図面を引き、自ら現場に立ち、鑿(のみ)と鉋(かんな)を握った。設計者が現場を知らなければ、図面は絵空事になる。施工者が設計思想を理解しなければ、建物は魂を失う。そう信じていたからだ。
この一貫したスタイルは、建築業界では異端だった。効率を優先する時代の流れに逆らい、手間を惜しまず、納得のいくまで木材と向き合う。時には工期が延びることもあった。だが、完成した建物には確かに「呼吸」があった。住まう人々は、木の香りと共に、職人の手の温もりを感じることができた。